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お香について

古代民族の間では、儀礼として香木を焚くことや、聖水を受ける事などにより、不浄を取り除き、邪気を払う風習がありました。

お香は、日本に仏教伝来とともに伝えられたと言われています。古代インドでは、特に臭気に対する配慮で、芳香を焚いて臭気を消す事に使用されていました。

仏教徒は、お香を焚くことを仏、菩薩に対する供養の方法として使用しています。
法華経の『分別功徳品第十七』の中に、「衆宝の妙なる香炉に、無価の香を焼いて、自然に悉く周偏して、もろもろの世尊に供養す」云々と説いています。
お香には、杉、白檀、沈香、伽羅など樹木、植物性材料のもの。
麝香のように、動物性のものや、現在では科学的製法のもの等、多くの製品がお香として手に入れることが出来ます。

お香は、塗香と焼香とに大きく二つに分けられます。
塗香は、香木を粉末にして浄水と混ぜ合わせ練香とするものや、粉末をそのまま乾燥させたものを、手や体などに塗って身を清めるのに使用します。
焼香は、もともと釈尊がクシナガラで入滅され、香木により荼毘に付された事が由縁とされています。

現在は、仏、菩薩に対する敬信の念を表す供養方法の一つになっています。
焼香といえば、一般的には抹香を香炉に焚く事をいいます。
作法としては、親指と人差し指で摘み火にくべ、いただく事はしません。
その回数は一回、または三回と言われていますが、回数に拘りなく状況を理解し、心を込めて供養することが肝要です。

寺院、在家に於いても広く普及使用されている線香は、練香の一種で宋から渡来し、禅宗を中心に広まったといわれています。

線香を立てるときは、香炉の中心に垂直に立て、蓋のある場合は線香を横たえます。
この場合は必ず火の点いた方を左に置きます。
香の中には、この他に華香というのがあります。
法華経の『授記品第六』に、種々の香華を以て供養すると示されています。
古聖は、「一回目は、天魔波旬を遠離すと念じ、二回目は仏祖の影現を念じ、第三回目は諸天善神の擁護を念ずべし」と言われ、 一回で終わる場合は、「一心不乱に心を込めて、手向けるべし」と言われています。
お香を焚くことは、仏、菩薩に供養の真を捧げること、不浄、邪気を祓って、癒しの心を受けることです。

現代人は、山林に入り森林浴を求め、田舎に行っては山里の風景に癒しを求める人も多くいます。
又、お香の匂いが嫌いと言う人、イメージが悪いと話す人もいます。
お香本来の意味を知って、数多くの製品の中から、自分に合った香を探されると良いでしょう。自分に合った良い香りを放つお香、線香を使われるよう、平素から心掛けてはどうでしょうか。他に、香道として香りを楽しむ。匂い袋、着物の匂い香、防虫香もあります。

〔参考資料 宗定法要式平成版、日蓮宗事典、信仰の原点〕