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大黒天神について

日本の守護神信仰といえば、①観音②稲荷③龍神④地蔵⑤大黒・恵比寿です。今回は、大黒天の歴史とご利益に就いてお話したいと思います。

大黒天は、もともと印度ヒンデュー教起源の鬼神で「「大時(刻)」を意味し、暗国の中に住み死を司る恐怖の破壊神でした。しかし、佛教の伝来と共に、印度 (破壊、支配、生成)→中国(戦闘、生産、食厨)→日本(貿易、豊穣、福徳)などと、解釈が変化して最終的には福・禄・寿の象徴神として定着されたようで す。

日本では、平安時代、密教を通じて真言宗や天台宗の最澄によって広められ、室町時代になると日蓮宗(法華経)に於いても盛んに信仰されるようになりまし た。特には、神道の神である「大国主命」(おおくにぬしのみこと)が、「大黒」と同音であることで民族的信仰と習合されて、今日の日常生活に厚く拝まれる 神として確立されたといえます。

現在、私達が馴染んでいる大黒様は、ふくよかな体系で微笑し、頭巾をかぶって右手に打出の小槌を持ち、右肩に袋を背負って、米俵の上に乗っていますが、こ の姿は江戸時代以降のもので、それ以前での古い仏像は、右手のこぶしを握り、腰に手を当てていたり、宝棒という棒を持った立像でした。もしかして家に古い 大黒の立像が祀ってあれば、室町時代のお宝かもしれません!!

この様に大黒天は、信仰者の思想や環境によって姿・形が変化してゆきました。それには、仏教への深い関わりを仏像にとどめる為と考えられます。昔から根強 く人々に頼られ愛されて絶対的な福徳のご利益を保障された守護神といえましょう。

大黒像が左手に持つご利益の福袋の中身には七宝が入っています。(七珍ともいいます。)法華経によると、①金②銀③瑠璃(るり)④瑪瑙(めのう)⑤真珠⑥ シャコ⑤マイカイの7種類です。「提婆達多品。第12」にも「七宝の妙塔を礼拝して供養せん」と説かれている様に、七宝が特別的に価値のあるものと証明さ れています。

日蓮宗では、鬼子母神と並びに法華経の守護神として祀られ、大荒行堂の修法相伝の一つに重要視されています。日蓮聖人も「真間釈迦佛御供養逐状」の中で 「大黒天を供養してからは安楽に過ごしていらっしゃいますか?・・・」と挨拶されています。「大黒天神供養相承事」では「大黒天神を信ずる者は、現世安 穏・福祐自在、疑なし。毎月毎日信ずること成り難き者は、六斎の甲子(60日に一度ある大黒天の縁日)に、供物を調え、御祭祀あるべき者也。是れ秘中の秘 なり」と大黒天を福の神様として供養することを勧めております。