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日蓮聖人一代記10

〈小松原法難〉

流罪が許された聖人は、「いま両親に会わなければ二度と会えないかもしれない」と、故郷へ帰られました。

家では、お母さまの妙蓮が瀕死の床に伏しておられ、急いでお題目を唱えて祈られたところ、たちまち病気が治って、再会を喜ばれました。

文永元年(1264)11月11日[日蓮聖人43歳]、そんな喜びもつかの間、小松原というところで、かねてから恨みをもっていた東条景信ら念仏信徒の襲撃に遭い、弟子の鏡忍房(きょうにんぼう)と信者の工藤吉隆(くどうよしたか)が殺され、聖人も額を斬られたうえ、左手を折られるという重傷を負わされました。

斬りつけた東条景信は落馬し、難をのがれた聖人は、家のものに迷惑をかけないよう、家の近くの岩穴に身を隠され、通りがかりの老婆から贈られた綿帽子をかぶって寒さをしのがれました。
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