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お釈迦様の教え09

―獅子吼(ししく)―

むかし釈尊が舎衛国の祇園精舎にあって多くの人々を集めて説法をされていた時のこと。
お釈迦様はこのようなお話をなさいました。

深山大谷の中に棲む獣王の獅子が、朝起きてその威勢を示し、空に向かってほえると、鹿、熊、虎、豹、猪の類は、気も転倒せんばかりに脅かされ、熟睡の床からはね起きて、四方八方へ姿をかくした。

そればかりでなく、あらゆる禽獣は、穴の中にいるものは、さらに奥底の方に身を縮め、水の中にいるものは、流れの底にもぐり、小屋につながれた象は、鎖を振りきって狂奔し、鳥は空中を飛び越えて天外にかけり、皆、安全な場所に避難するのである。

仏という獅子王は、寂滅という深山に住み、禅定という奥深く静かな幽谷にかくれてきわめて平静な生活にひたっているが、一度、無礙弁(むげべん)の獅子吼を試みられると、外道や諸論師の邪見をおどし、眠れる人々をさまし、我執にとらわれた高慢のものをくだし、邪行のものをおそれしめ、諸天の歓楽をむさぼる長命の天人に、無常の道理を知らしめる。
仏の四諦の獅子吼は、人をして生死を厭わしめ、その厭う心が、やがて生死を離れ、涅槃に入らしめる。

獅子吼二十の条件

① 十方にその根底をおく。
② 何ものにも萎縮しない。
③ 何ものにもおそれない。
④ 梵音である。
⑤ いまだかってあらざる妙である。
⑥ 大衆をひいて涅槃善にいたらしめる。
⑦ 悪魔が驚きおそれる。
⑧ 魔民を擾乱(じょうらん)する。
⑨ 諸天は歓喜する。
⑩ 天魔が人を網する種々の宿業から脱せしむる。
⑪ 天魔の繋縛を断つ。
⑫ 天魔のつり針を破る。
⑬ 悪魔の世界を過ぎさせる。
⑭ 各自の善根を増長させる。
⑮ 仏法以外の他法を減損する。
⑯ 果報が正確である。
⑰ 説法はかならず適当の効果が期待される。
⑱ 凡夫も聖道に入る。
⑲ 聖道に入ったものは煩悩を断じつくす。
⑳ 衆生の欲するところにしたがって声聞・縁覚・菩薩の法をそれぞれ適当に得させる。
(大智度論第二十五)

日蓮大聖人は『仏の説法をば獅子吼と申す、乃至法華経は獅子吼の第一なり』(四条金吾殿御返事)といわれています。
南無妙法蓮華経の御題目を唱え、法華経を読誦するあなたは、仏であり、その音聲は獅子吼であります。

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