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お釈迦様の教え02

―琴の絃― 《中道》

お釈迦様はお悟りを開かれ後、サルナートという所に於いて初めてのお説法され、その後50年にわたって各地を伝道に歩かれ、教えをのこされております。そんな伝道の中での色んなお話をご紹介しましょう。

お釈迦様の教えに浴した人々の中からは、弟子となって修行に入られる人々も多くおられましたが、そんなお弟子のひとりにソーナという若者がおりました。 彼は足の裏まで産毛が生えていたという伝説があるぐらいですから、お釈迦様について出家するまでは、下にも置かれないぐらい大事に育てられた、今でいうぼ んぼんだったのでしょう。

 とにかく出家したソーナは、一生懸命修行に励みます。足の裏からは血が流れ、ソーナの歩いた後は血塗れになっていたといわれるぐらい励んだのでした。し かし彼はどうしても執着を離れることが出来ず、煩悩を絶つことが出来ません。失意の中にあるソーナにお釈迦様はこう言われました。

「ソーナ、聞くところによると、そなたは琴の名手と聞く。琴というものはよい音を出すのに、どのように琴の絃(いと)を調えれば良いのかね」
「はい、絃は緊(し)めつけず、弛(ゆる)くせずです」
「そうだろうね。絃を張りすぎたとき、弛めすぎたとき、琴は美しい音色は出ない。緩急よろしきを得ているとき琴は美しい音色を出すことが出来るのだ。仏 の道もそれと同じなのだよ。急ぐことなく、緩むことなく常に心の平静を保って道を修めることが大事なのだよ」
とお説きになられました。 

張り過ぎず、緩め過ぎず。そのどちらにも偏らず、とらわれを離れること。これを「中道」の教えといいます。
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